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バーチャルオフィスでも金融機関からの融資を受けられる?銀行の種類別に解説

高橋 暁人

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売上が不安定な時期に、低コストで住所を借りられるバーチャルオフィスは魅力です。ただ、そこで心配になるのは「銀行からの融資を受けられるのかどうか」ではないでしょうか。借りた住所に営業実態が存在しないことから、「マイナス評価を受けたり審査落ちしたりしないだろうか?…」と不安に感じている方も多いはずです。

この記事では、金融機関の種類別に、バーチャルオフィスでの融資対応可否を紹介します。後半では、そのほかの資金調達方法も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

前提知識!融資元が対応する銀行口座を開設しないと融資を受けられない

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前提として、融資元の銀行口座を開設・保有していないと、融資は受けられません。たとえば、三菱UFJ銀行の融資を受けるには、三菱UFJ銀行の銀行口座が必要です。

ただし例外として、日本政策金融公庫などの公的機関では、対応する民間の金融機関口座を使用します。なぜかというと、日本政策金融公庫や地方自治体は、預金業務を行っていないためです。

なお、一部の銀行や信用金庫では、バーチャルオフィスが理由で口座開設審査に落ちてしまうケースがあります。以下の記事では、バーチャルオフィスでも開設できる銀行口座や、おすすめな銀行・信用金庫を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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バーチャルオフィスでも金融機関からの融資は受けられる?

1万円札が入ったアタッシュケースと、話し合いをする人

公的な金融機関は、基本的にバーチャルオフィスでの融資に対応しています。ただし、民間の金融機関は、銀行・支店によって対応が異なるのが特徴です。

近年はバーチャルオフィスが一般化しているため、住所が原因で審査落ちする可能性は低いと言われています。しかし、「そもそもバーチャルオフィスでの口座開設に対応していない」「中小企業の創業融資に消極的」などの理由から、融資を断られるケースもあります。

以下の表は、融資主体別に、バーチャルオフィスでの口座開設可否と、融資の通りやすさをまとめたものです。一般的に「新規創業者が融資審査に通りやすい」と言われる順に並べています。

融資主体口座開設のしやすさ融資の通りやすさ
日本政策金融公庫
※民間の金融機関口座を開設する必要あり
地方自治体
※連携先の金融機関口座を開設する必要あり

※連携先の金融機関・信用保証協会による
地方銀行
※銀行によって異なる

※銀行によって異なる
信用金庫・信用組合
※開設できないケースがほとんど
都市銀行(メガバンク)
※中小企業は基本的に非対応

日本政策金融公庫:要件を満たしていれば可能

日本政策金融公庫とは、政府が運営する政策金融機関です。小規模事業者や中小企業の支援に力を入れていることもあり、民間の銀行・信用金庫に比べて融資を受けやすいと言われています。

日本政策金融公庫では、特に住所地に関して規定を設けていないため、バーチャルオフィス住所であっても申請が可能です。

ただし、審査時に提出する事業計画書の内容と住所がミスマッチな場合、問題視されることもあります。たとえば、実店舗や設備、機械などの設置が必要なケースです。そのような場合は、事業計画を問題なく遂行できることがわかる、合理的な説明が求められます。

同機関における代表的な融資制度は、「新創業融資制度」と「新規開業資金」です。以下で、それぞれの概要を表にまとめました。

新創業融資制度新規開業資金
資金の使い道・新規事業で必要となる設備資金・運転資金・新規事業で必要となる設備資金・運転資金
融資限度額・3,000万円(うち運転資金1,500万円)・7,200万円(うち運転資金4,800万円)
担保・保証人・原則不要・要相談
対象者・「新たに事業を始める方」または「事業開始後税務申告を2期終えていない方」・「新たに事業を始める方」または「事業開始後おおむね7年以内の方」

融資限度額はそれぞれ3,000万円、7,200万円とありますが、たとえば新創業融資制度であれば、支店の決済上限が1,000万円だと言われています。それ以上の融資を受けようとすると、別途、厳しい本店審査を通過しなければなりません。

日本政策金融公庫が対応する銀行口座は、メガバンクや都市銀行、信用金庫・組合などさまざまです。ただし、ネット銀行は基本的に対応していない点に注意しましょう。

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地方自治体(制度融資・あっせん融資):各金融機関・信用保証協会による

制度融資(あっせん融資)とは、地方自治体・信用保証協会・金融機関の3機関がそれぞれの役割を担うことで、事業者が低金利・長期の借入をできるよう支援するための仕組みです。都道府県が行う場合、一般的に「制度融資」と呼びますが、市区町村が行う場合には「あっせん融資」の言葉がよく使用されます。

制度融資における各機関の役割

  • 地方自治体(都道府県):信用保証料や利子の負担
  • 信用保証協会:事業者の信用保証と代位弁済
  • 金融機関:融資の実行

バーチャルオフィスで制度融資を受けられるかどうかは、申請する金融機関や信用保証協会によって異なります。

金融機関においては、実際に当該銀行での口座開設審査や融資審査に通過する必要があります。信用保証協会においては、基本的にバーチャルオフィスが原因で落ちることはありません。しかし、地域ごとに運営方法や融資の要件が異なるため、場合によっては問題となる可能性もあります。

たとえば東京都では、新たに事業を開始する方向けに以下の制度融資を設けています。

項目詳細
融資の種類・創業融資
対象・事業を営んでいない個人、かつ東京都内で創業しようとする具体的計画を有するもの
・創業から5年未の中小企業者・組合
・都内で分社化する会社または、分社から5年未満の会社
融資上限・3,500万円
融資期間・運転資金:7年以内
・設備投資:10年以内
融資利率・1.7〜2.2%または変動
出典:東京都産業労働局|制度融資一覧

地方自治体の融資は、日本政策金融公庫の融資に比べて種類が豊富です。上記以外にも、さまざまな融資制度が設けられているため、自社の条件に合ったものを見つけやすいでしょう。

ただし、日本政策金融公庫に比べて、融資実行までの期間が数ヶ月ほど長くなる点に注意が必要です。

地方銀行:銀行や支店によって対応はまちまち

地方銀行とは、福岡や横浜など各地域に営業基盤を持ち、一般社団法人全国地方銀行協会に加盟している銀行のことです。第二地方銀行協会に加盟する場合は、第二地方銀行と呼ばれます。

いずれも中小企業への融資に積極的で、地方銀行は規模の大きな企業と、第二地方銀行は小規模事業者と取引する傾向があります。ただし、バーチャルオフィスでの融資については、対応可否が銀行や支店によって異なります。

たとえば、一部の地方銀行や支店では、バーチャルオフィスでの口座開設に対応していなかったり、創業融資に関しては消極的だったりします。地方銀行での融資をお考えの方は、金融機関を選ぶ際に、上記2点を確認しておきましょう。

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信用金庫・信用組合:そもそも口座開設ができないケースがほとんど

信用金庫は、地域の住民や中小企業が支え合って、地域を繁栄させることを目的とした協同組織の金融機関です。中小企業への支援には積極的ですが、バーチャルオフィスを使用する場合は、口座開設の時点で審査落ちになることがほとんどです。

なぜかというと、バーチャルオフィスでは住所地に営業実態がなく、地域の中小企業に該当しないと判断されているためだと考えられます。融資元となる信用金庫・信用組合で口座を開設できないと、融資の申請もできません。

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メガバンク:融資対象は大企業がメイン

メガバンクとは、主要都市に営業基盤を持つ都市銀行の内、特に規模の大きな金融機関のことです。一般的には三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行を指し、3大メガバンクと総称します。

メガバンクの融資対象は、大企業が中心です。したがって、バーチャルオフィスであるか否かに関わらず、創業融資は断られる傾向にあります。

バーチャルオフィスを活用した融資でよくある質問

ここでは、バーチャルオフィスを活用した融資でよくある質問と、その回答を紹介します。

創業予定ですが、最初にどこから融資を受けたらいいですか?

まず検討すべきは、日本政策金融公庫の「新創業融資」と「新規開業資金」です。一般的に、銀行融資よりも低金利かつ審査ハードルが低いとされているためです。

万が一、日本政策金融公庫の融資に落ちた場合は、地方自治体の制度融資(あっせん融資)、地方銀行の順で検討しましょう。

なお、バーチャルオフィスでは、ほとんどの信用金庫・信用組合で口座を開設できません。したがって、地方銀行の融資制度で審査落ちになった場合は、ほかの資金調達方法を検討する必要があります。

不動産投資が目的でも融資は受けられますか?

不動産投資が目的であっても、バーチャルオフィスで融資を受けること自体は可能です。ただし、融資元の選択肢が狭まる点に注意しましょう。

一般的に、不動産投資ローンに積極的だと言われるのは、地方銀行や信用組合・金庫です。前章でも説明したように、地方銀行では対応がまちまちなこと、信用組合・金庫では口座開設自体が不可なケースが多いことから、融資元の検討先が少なくなってしまう可能性を考慮しなければなりません。

不動産投資の実績がそれなりにあり、融資を受けやすい状態であれば別ですが、自己資金の少ない初心者のうちは、バーチャルオフィスの利用を避けるのが無難です。なお、レンタルオフィスであっても銀行から同じような扱いを受けることが多いと言われています。

不動産投資の融資を成功させるには、自宅住所、もしくは専有の事務所の住所で申請する方が、より確実です。

バーチャルオフィスでも金融機関からの融資を受けやすくするコツ

ここでは、バーチャルオフィスでも金融機関からの融資を受けやすくするコツを紹介します。

同じ業種の企業が集積している地域を選ぶ

オフィスビルの画像

とくにIT関連など、ビジネスモデルが比較的新しい業種の場合は、似たような企業が集積している地域を選ぶのがおすすめです。銀行側としても、すでに同じような事業計画やビジネスモデルで融資審査を通した実績があれば、次の審査でも検討しやすいからです。たとえばIT関連であれば、東京の渋谷、福岡の北九州や博多地域などが挙げられます。

基本的に融資の申込先は、本店所在地の近くになります。そのため、どこのバーチャルオフィス住所で登記するかが重要になるのです。

まだバーチャルオフィスを契約されていない方は、上記のような融資の観点も踏まえて、登記する店舗を検討してみてください。

税理士や知り合いに紹介してもらう

面接をしている人の画像

融資を受ける際には、税理士や知り合いから紹介してもらうのがおすすめです。金融機関としても、初めての融資では申請者の素性がわからないため、慎重にならざるをえません。

一方、すでに融資を受けている人や税理士の紹介であれば、信用しやすくなります。特に税理士は、国家資格を保有しているため、紹介が信用の証になりやすいです。

面談時にバーチャルオフィスを利用していることを伝える

面談をしている女性の画像

融資面談では、バーチャルオフィスを利用している旨を伝えておきましょう。その場で伝えるのと、後で調べてわかるのとでは、印象が異なるためです。

バーチャルオフィスの利用を隠したり、嘘の情報を伝えたりすると、不信感を抱かれかねません。面談時には、企業の代表者の人柄も評価されるため、事実を正確に伝えることが大切です。

バーチャルオフィスを活用した融資以外の資金調達方法

平等に積み上げられた硬貨の画像

融資はメリットの多い資金調達の方法ですが、成功率を高めるためには、ほかの方法も検討しておくことが大切です。

ここでは、バーチャルオフィスを活用した融資以外の資金調達方法を説明します。以下の表には、資金調達の手段ごとに難易度や調達可能額、支払利息の目安をまとめています。

資金調達の手段調達のしやすさ調達可能額支払い利息
補助金・助成金10万円~1億円程度返済不要
ビジネスローン10~1,000万円程度1~14%程度
個人・団体からの出資無制限返済不要
クラウドファンディング150~300万円程度返済不要
※金融型の場合は必要

補助金・助成金

補助金と助成金は、各省庁や地方自治体が支給する資金のことです。企業の活動を支援し、政策を促すためのものです。

自治体によって詳細は異なりますが、バーチャルオフィスでも受けられる創業者向けの補助金・助成金が多く見られます。基本的には、制度の要件を満たすことで支給され、返済が不要です。重点政策に関する補助金・助成金は、支給金額が大きい点も魅力です。

ただし、必要書類の作成や申請には多くの手間と時間がかかります。また、法制度がたびたび改正されるため、創業直後は書類の作成や要件への対応が大きな負担になる恐れがあります。

ビジネスローン

ビジネスローンとは、銀行や消費者金融などが扱う事業者向けのローン商品のことです。銀行融資に比べ、資金用途の自由度が高かったり、審査スピードが早かったりする点がメリットです。一般的に審査難易度が低いとされており、銀行融資を断られた場合でも、ビジネスローンの審査に通過できる事例は多く見られます。

しかし、金利は1〜14%程度と高めです。日本政策金融公庫が0.45〜3.7%程度、地方自治体の制度融資が1.7〜2.2%程度なため、大きな差があります。また、調達可能額も10〜1,000万円程度と融資より低く設定されています。

個人・団体からの出資

出資とは、投資家やベンチャーキャピタルなどが事業の成長を見込んで資金を提供することです。基本的には出資金を自由に使用でき、返済義務や利息がありません。

将来的に成長が見込める事業には、多額の資金が集まる傾向にあります。融資のような上限額がないため、多額の資金調達に適した方法です。

ただし、取り決めによっては、出資者に対して株式を譲渡する必要がある点に注意が必要です。発行済株式総数や出資者の持株比率によっては、経営権が出資者に渡る恐れがあります。

出資を受ける場合は契約書を入念に確認し、納得のうえで受けましょう。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、不特定多数の人がインターネットなどを通じて、企業や団体を支援する仕組みのことです。厳密な定義はありませんが、主に以下3つのタイプに分類されます。

  • 寄付型:支援者がリターンを受けないタイプ
  • 購入型:商品やサービスの購入によって支援するタイプ
  • 金融型:投資や融資によって支援するタイプ

クラウドファンディングは、銀行融資や出資に比べて、資金調達の範囲が広い点が魅力です。インターネット上で支援者を募るため、国内外のさまざま人から調達できる可能性があります。

また、商品や自社の認知度を高められたり、タイプによってはリターンが不要だったりする点も魅力です。ただし、必ずしも目標の資金を調達できるとは限らないため注意が必要です。

プロジェクトのタイプによっては、目標金額に達しなかった場合でもリターンの提供が必要な場合もあります。

バーチャルオフィスでの融資を検討してみよう

握手をしているビジネスマンの画像

この記事では、金融機関の種類別に、バーチャルオフィスでの融資対応可否を紹介しました。日本政策金融公庫の融資は、バーチャルオフィスであるかに関わらず、要件を満たせば受けられる可能性があります。

同機関の「新創業融資制度」と「新規開業資金」は、民間の銀行融資よりも良い条件を提示される傾向があります。バーチャルオフィスでの融資をお考えの方は、第一に日本政策金融公庫を検討しましょう。

以下の記事では、料金や用途、サービス内容など、さまざまな観点からおすすめのバーチャルオフィスを比較しています。複数のバーチャルオフィスを比較し、自身にあった事業者を吟味したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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