バーチャルオフィスは、低コストで手軽に利用できる便利なサービスです。しかし、一部では反社会的勢力や犯罪者に悪用されるケースがあることをご存じでしょうか?
本記事では、反社会的勢力による悪用リスクや対策の現状、信頼できる事業者の選び方について詳しく解説します。バーチャルオフィスを安全に利用したい方は、ぜひ最後まで読んでお役立てください。
バーチャルオフィスが反社・犯罪者に悪用されるリスク
バーチャルオフィスが反社会的勢力や犯罪者に悪用された場合、同じ住所を使用するほかの契約者も信用が損なわれる場合があります。たとえ自社は全く関係がなくても、同じ住所を使用しているというだけで、取引先や金融機関から疑いの目で見られ、ビジネス上の大きな障害となってしまいます。
また、犯罪に関連する報道やニュースで住所が公開されると、インターネット上での風評被害も避けられません。検索エンジンで住所を調べた際に犯罪関連の情報が表示されると、その住所で登記している企業すべてが、不当な疑いをかけられてしまいます。
このような信用毀損は、取引先との契約解除や、融資を含む金融取引の停止など、企業活動の広範な領域に悪影響を及ぼします。そのため、バーチャルオフィスを選ぶ際は、事前に住所を検索して、しっかりとした審査体制を持つ事業者を選択することが重要です。
バーチャルオフィスが反社・犯罪者の拠点として使用されるリスクはある?
バーチャルオフィスの安全性について、不安視する方が多いのは事実です。
しかし、このリスクは事業者の審査体制や、法規制の有無によって大きく変わってきます。現在と過去では状況が大きく異なるため、それぞれの時期における実態を見ていきましょう。
現在:審査を適切に実施している事業者であれば低い
現在では、適切な審査体制を有するバーチャルオフィス事業者であれば、反社会的勢力に悪用されるリスクは低くなっています。2008年に施行された犯罪収益移転防止法による法整備が大きな理由です。
犯罪収益移転防止法とは、主にマネーロンダリング(マネロン)を防止することを目的とした法律のことです。
この法律は、以下のような特定事業者に対して、厳格な本人確認や取引記録の保存、疑わしい取引の届出などを義務付けています。
▼特定事業者に該当する主な事業者
- 金融機関
- ファイナンスリース業者
- クレジットカード業者
- 宅地建物取引業者
- 郵便物受取・電話受付代行業者(バーチャルオフィスはここに該当)
マネーロンダリングとは、犯罪で得た資金を正当な取引で得たように見せかける行為のことです。近年は、バーチャルオフィス事業者が厳格な本人確認を実施する事業者が増えた結果、犯罪組織が身元を隠してお金の出所を分からなくすることが難しくなっています。
具体的には、契約者の本人確認書類の確認、取引目的の確認、そして反社会的勢力との関係がないかの確認などが必要です。
ただし、このような審査体制があっても、抜け道を見つけて審査が通る場合もあるため、悪用されるケースが完全になくなったわけではありません。そのため、利用する際は事業者の審査体制をしっかりと確認することが重要です。
過去:犯罪に利用されることが多くあった
バーチャルオフィスは、1990年代後半から2000年代初頭に登場したサービスです。
当時は犯罪収益移転防止法のような規制がなく、本人確認も厳格ではありませんでした。そのため、低価格で手軽に住所を借りられるバーチャルオフィスは、身分を隠したい犯罪者にとって格好の場となっていました。
とくに問題となったのが、投資詐欺などの犯罪グループによる悪用です。犯罪者は、バーチャルオフィスの住所を利用して、あたかも正規の事業者であるかのように装い、詐欺行為を実行していました。身元を隠蔽するため、金銭で雇った第三者にバーチャルオフィスを契約させる場合もあります。
このような事態を受けて、2008年に犯罪収益移転防止法が施行され、バーチャルオフィス事業者にも厳格な審査が義務付けられました。過去の教訓が、現在の厳格な法規制につながっています。
バーチャルオフィスを安心して利用するためのチェックポイント2つ
安心して利用できるバーチャルオフィスを選ぶには、以下の点を確認することをおすすめします。
- 犯罪収益移転防止法に基づき審査が行われているかを確認する
- バーチャルオフィス住所で検索し、悪評がないかを確認する
それぞれ見ていきましょう。
1.犯罪収益移転防止法に基づき審査が行われているかを確認する
バーチャルオフィスを契約する際に、犯罪収益移転防止法に基づく厳格な審査が実施されているか確認することが重要です。
氏名や生年月日、現住所、職業、利用目的などが確認されるほか、本人確認書類の提出も求められます。この確認作業は、法律で定められた重要な義務です。
もし、このような審査体制が整っていない事業者は、コンプライアンス意識に問題があるため、反社会的勢力が混入するリスクが高いと言えます。
そのため、契約前に事業者の審査体制をしっかりと確認することが不可欠です。
犯罪収益移転防止法で定める本人確認書類
バーチャルオフィス事業者は、犯罪収益移転防止法に基づき、利用者に以下の書類の提出を求める必要があります。
個人の場合 | 法人の場合 |
---|---|
・写真付き本人確認書類(1点) 運転免許証、運転経歴証明書、在留カード、特別永住者証明書、マイナンバーカードなど ・写真なし本人確認書類(2点) 健康保険証や年金手帳、公共料金の領収書など | ・登記事項証明書 ・印鑑登録証明書 ・上記2点のほか、法人の名称・本店または主たる事業所の所在地の記載がある官公庁発行書類等 |
公共料金の領収書などを使う場合は、有効期限が発行日から3か月以内である必要があります。
2.バーチャルオフィス住所で検索し、悪評がないかを確認する
契約する前に、検討しているバーチャルオフィスの住所をインターネットで検索しましょう。住所を検索すると、その場所に関するさまざまな情報が見つかる場合があります。
たとえば、過去に問題のある事業者が入居していた場合、ニュース記事や掲示板の投稿として記録が残っている場合があります。万が一、その住所が過去に事件やトラブルに巻き込まれていた場合、同じ住所を使用する事業者の信用にも悪影響が及ぶリスクがあります。
入念な事前確認は、将来のリスクを回避するためにも必要な作業です。
反社チェックに力を入れているバーチャルオフィス3選
ここからは、具体的にコンプライアンスを重視したバーチャルオフィスを紹介します。入居者の審査体制が整った、安全性の高いサービスです。
サービス名 | 月額料金 | 特徴 |
---|---|---|
NAWABARI | ・住所のみ:1,100円~ ・郵便物転送あり:1,100円~ | ・経団連導入の反社チェックツール使用 ・プライバシーマークの取得 |
GMOオフィスサポート | ・住所のみ:660円~ ・郵便物転送あり:1,650円~ | ・上場企業のグループ会社が運営 ・反社対応方針を制定・利用規約にて |
レゾナンス | ・住所のみ:990円~ ・郵便物転送あり:990円~ | ・反社対応方針を制定 |
NAWABARI:経団連にも導入される反社チェックツールを使用
NAWABARI(ナワバリ)は、10年以上の運営実績を持つバーチャルオフィスです。運営会社の株式会社Lucci(ルッチ)は、バーチャルオフィス事業以外にも飲食事業やレンタルWiFi事業なども展開しています。
基本情報 | |
---|---|
運営会社 | ・株式会社Lucci |
サービス提供開始日 | ・2014年3月 |
拠点・店舗 | ・目黒 ※住所の詳細は会員のみに開示 |
法人口座の開設実績(公式記載のみ) | ・三井住友銀行 ・みずほ銀行 ・三菱UFJ銀行 ・ゆうちょ銀行 ・GMOあおぞらネット銀行 ・住信SBIネット銀行 ・楽天銀行 ・PayPay銀行 |
サービス内容 | |
郵便物の転送間隔 | ・週1回 ・都度 ・即時 |
電話サービス | ・留守番電話転送 ・電話発着信 ・インターネットFAX ・電話秘書代行 |
会議室・コワーキングスペース | ・非対応 |
料金・支払い方法 | |
プラン・月額料金(税込) | ・ネットショップ運営プラン(法人登記不可):1,100円 ・ビジネスプラン:1,650円 |
入会金・保証金(税込) | ・入会金:5,500円 ・保証金:0円 |
支払いサイクル(契約期間) | ・1ヶ月払い ・1年払い |
支払い方法 | ・PayPal ・後払い.com(口座振替) |
大きな特長は、経団連にも導入されている反社チェックツールを使用している点です。利用者一人ひとりが安心できるように、厳正な審査を実施しています。
また、バーチャルオフィス業界では唯一のプライバシーマークを取得しており、個人情報の管理体制も整っているため、安心して申し込めます。
このような徹底した管理体制を採用しているため、安心して利用できるバーチャルオフィスサービスだと言えます。2025年1月までの加入なら、通常5,500円(税込)の初期費用が無料になるキャンペーンを実施中です。
\月額1,078円~/
GMOオフィスサポート:大手企業のグループ会社が運営
GMOオフィスサポートは、上場企業のグループ会社が運営するバーチャルオフィスサービスです。全国16ヶ所にオフィスを展開し、利用者数は20,000名を超える大規模な事業者として知られています。
基本情報 | |
---|---|
運営会社 | ・GMOオフィスサポート株式会社 |
サービス提供開始日 | ・2021年12月 |
拠点・店舗 | ・渋谷区道玄坂 ・西新宿 ・銀座 ・青山3丁目 ・秋葉原 ・目黒区目黒 ・恵比寿 ・三軒茶屋 ・横浜市 ・名古屋市 ・大阪市・梅田 ・大阪市・心斎橋 ・京都市 ・福岡市・博多 ・福岡市・天神 ・神戸市 ※ホームページ上で住所を公表 |
法人口座の開設実績(公式記載のみ) | ・GMOあおぞらネット銀行 ・みずほ銀行 ・横浜銀行 ・三菱UFJ銀行 ・住信SBIネット銀行 ・きらぼし銀行 ・三井住友銀行 ・楽天銀行 ・北海道銀行 ・ゆうちょ銀行 ・PayPay銀行 ・東京シティ信用金庫 ・りそな銀行 ・大和ネクスト銀行 ・西中国信用金庫 |
サービス内容 | |
郵便物の転送間隔 | ・月1回 ・隔週 ・週1回 ・即時 |
電話サービス | ・非対応 |
会議室 | ・福岡・博多 ・渋谷(2024年内オープン予定) |
料金・支払い方法 | |
プラン・月額料金(税込) | ・転送なしプラン(法人登記不可):660円 ・月1転送プラン:1,650円 ・隔週転送プラン:2,200円 ・週1転送プラン:2,750円 |
入会金・保証金(税込) | ・入会金:0円 ・保証金:0円 |
支払いサイクル(契約期間) | ・1年払いのみ |
支払い方法 | ・クレジットカード ・一部のデビットカード |
安全性の面では、明確な反社会的勢力への対応方針を掲げており、利用規約第29条には「反社会的勢力等の排除」を明記しています。会員に暴力団や反社会勢力に関わる人物の利用を禁止し、万が一在籍が判明した場合はすぐに契約解除が可能です。
このような厳格な審査体制により、安心して利用できるサービスとなっています。
また、大手上場企業である、GMOインターネットグループ株式会社のグループ企業が運営している点も安心できるポイントです。GMOオフィスサポートが気になる方は、以下より詳細をご確認ください。
\初年度の基本料金3ヶ月間無料/
レゾナンス:反社への基本方針や、利用規約を厳格に定める
レゾナンスは、東京を中心に9店舗を都心部に展開するバーチャルオフィスサービスです。法人登記が月額990円(税込)〜で使えます。
基本情報 | |
---|---|
運営会社 | ・株式会社ゼニス |
サービス提供開始日 | ・2016年 |
拠点・店舗 | ・港区浜松町 ・銀座 ・渋谷区神宮前 ・西新宿 ・秋葉原 ・日本橋 ・青山 ・恵比寿 ・横浜市 ※住所の詳細は会員のみに開示 |
法人口座の開設実績(公式記載のみ) | ・みずほ銀行 ・GMOあおぞらネット銀行 ・住信SBIネット銀行 ・PayPay銀行 |
サービス内容 | |
郵便物の転送間隔 | ・月1回 ・週1回 ・即時 ・スポット |
電話サービス | ・電話転送 ・電話発信 ・内線電話 ・FAX ・電話秘書代行 |
会議室・コワーキングスペース | ・浜松町本店 ・銀座店 ・渋谷店(コワーキングあり) ・日本橋店 ・新宿店 ・秋葉原店 ・青山店 ・恵比寿店 ・横浜店 ※1契約ですべての拠点が利用可 |
料金・支払い方法 | |
プラン・月額料金(税込) | ・バーチャルオフィスコース(住所のみ):990円~ ・転送電話2点セットコース(住所+転送電話):3,190円~ ・転送電話3点セットコース(住所+転送電話+転送FAX):4,290円~ ・電話秘書代行セットコース(住所+電話秘書代行):5,390円~ ・転送電話コース(住所なし):2,200円~ ・電話秘書代行コース(住所なし):4,950円~ ・電話秘書代行内線取次コース(住所+電話秘書代行+内線取次ぎ):7,700円~ ・電話秘書代行貸出し番号発信セットコース(住所+電話秘書代行+貸出し番号発信):8,800円~ |
入会金・保証金(税込) | ・入会金:5,500円 ・保証金:1,000円~ ※郵便物転送料・通信料のデポジットとして使用 |
支払いサイクル(契約期間) | ・1ヶ月払い ・半年払い ・1年払い |
支払い方法 | ・銀行振込 ・口座振替 ・来店での現金・QRコード(PayPay・auPAY)支払い ・クレジットカード |
運営会社の株式会社ゼニスは、バーチャルオフィス事業のほかに、Webサイト制作やアプリ販売など複数の事業を展開している総合的なIT企業です。
利用者の安全を重視し、「反社会的勢力に対する基本方針」を定め、具体的な対応方針を明示しています。また、入会規約では反社会的勢力の利用を明確に禁止し、厳格な審査によって健全なサービス運営をしています。
また、レゾナンスは利用者数が非常に多く、それに伴い審査体制が整備されていることが伺えます。郵便物転送込みで880円~で利用できるコスパの良さも魅力なので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
\入会金5,500円→0円/
反社チェックをしっかりと行うバーチャルオフィスを選ぼう
バーチャルオフィスを選ぶ際は、しっかりとした審査体制を持つ事業者を選ぶことが重要です。現在では、犯罪収益移転防止法により厳格な本人確認が義務付けられています。
信頼できる事業者を見つけるためには、法律に基づく適切な審査が行われているか、その事業者の住所に関する評判はどうかを確認しましょう。
これらの確認を怠ると、後から思わぬトラブルに巻き込まれるリスクが高まります。安心して利用できるバーチャルオフィスを選ぶと、ビジネスに専念できる環境を入手できます。
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